現 場 探 訪
いろいろな建築現場へ行き、現場がどの様なものか、簡単に説明します。
スポパーク松森天井落下事故調査(私的)2005.8.17
孝勝寺五重塔現場見学記
孝勝寺五重塔現場見学記
平成13年12月6日に本山孝勝寺五重塔の見学会があり、雨上がりの午後でしたが70人あまりの人が参加しました。建築途中の内部骨組みを見ることが出来ると言う事で、私もこの貴重な見学会に参加しました。 本山孝勝寺は、1295年に日蓮聖人の直弟である日門上人を開山として創建された光明山大仙寺が数度改名した寺で、仙台藩伊達家にも縁の深い東北唯一の日蓮宗本山です。本山孝勝寺は、その歴史と由緒を多くの人々に伝え、仏教文化の象徴として人々の心に安らぎと仏性の光りを灯し、「人生の光明」と仰ぐ仏塔を願って五重塔を建立するとの事です。この五重塔は、純木造で高さが最頂部(相輪最上部)まで31.9m、柱間が初重で4.7m、五重で2.94m、軒の出は全層共2.88mとなっている。部材総数は約16100部材、斗総数は1852個である。心柱は二重目から立ち上げている。また、塔の総重量は約250tあり、基礎は、鉄筋コンクリート造べた基礎(ラップルコンクリート使用)である。工期は、平成12年11月26日から平成14年12月31日で、一層の組み上げに2ケ月半位かかるそうです。 設計者は、且ュ野設計事務所の鹿野克己氏で、監修を東北大学の佐藤巧名誉教授が行っています。塔に使用されている木材は、樹齢200〜300年の青森ひばで、伐採から製品化まで3〜5年を費やし、横架材はすべて継ぎ手なしの一本物を使用している。基礎のコンクリート強度Fc=21N/mm2、鉄筋は、SD295A及びSD345を使用し、ラップルコンクリートを支持地盤の砂礫層まで打設している。耐久性を向上させるため、基礎の上端と側面に厚さ200mmの増し打ちを行い、かぶりを大きくとっていて、さらに、周囲の地盤及び埋め戻し土を酸性雨の影響を考えてアルカリ性土(PH11)に土壌改良している。構造上の水平力に対する検討は、古来より五重塔が倒壊した例が無い事から力学的な検証を行っていないが、鉛直力に対しては、基礎部について検討を行っている。(長期接地圧は、6t/m2位)五重塔の要求性能は、1000年位と考えているそうですが、これは、現存する古い塔がそうであったように、数10年毎に部分的な修理を行いながら200〜300年の間に大修理又は解体修理が行われることを想定しての事のようです。設計者の鹿野克己氏は、「今に残る文化財建造物は、創建以来幾世代にもわたる維持保存の不断の努力によって、辛うじて現在に伝わる物ばかりであると言っても過言ではないと思います。我が国の人々・工人が、現存する国宝・重要文化財、又は、これから文化財となるべき歴史文化を正しく理解し将来の文化へと守り続けてきた様に、孝勝寺もまた守り続けられるものと思います。今、この時代の塔建立として最善を尽くし、その後はその時代の工人に文化財として守ることを委ねたいと思います。」と建物への思いを述べています。 さて、今回の見学会では、耐震的に優れていると言われる五重塔の内部に入って見る事が出来たのですが、建物の規模のわりに部材が大きいように感じ、さらに、各部材がダボで接続されていて、この遊びが耐震的に優れている理由のひとつではないかと考えながら見学させてもらいました。内部へは二重部分に入りましたが、あまりに狭く、これでは四重・五重内へはまず入る事は出来ないだろうと感じました。また、見事に組み上げられた斗や肘木、塔内中央の心柱近くまで入り込む垂木など、数々の古い塔を建てた先人たちの如何に組み上げて行くかという 苦心の跡を垣間見ることが出来また。 最後になりましたが、たいへん貴重な見学会を主催したJSCA東北支部事業委員会並びに丁寧な説明・案内をして下さった設計者と現場関係者の方々に御礼申し上げます。
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